企業TOPインタビュー

たまご専門商社の責任とやりがい。家業に飛び込み学んだ経営の本質。

株式会社グンケイ
常務取締役 佐藤 晃司

更新日:2025年4月16日

群馬県生まれ。早稲田大学卒業。
2014年 株式会社三菱UFJ銀行入行。
2017年 株式会社群馬鶏卵(現:株式会社グンケイ)入社。
2022年 常務取締役就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

銀行員からたまご専門商社へ。営業経験を活かし、家業に入ることを決意。

私は群馬県の高校を卒業後、東京の大学に進み、新卒で銀行に入行しました。学生時代はすぐに家業を継ぐというよりは、将来的に戻ってくる選択肢もあると考えていたので、さまざまな経験を積める銀行への就職を決めました。

グンケイは私の祖父が1966年に創業した会社で、まもなく60周年を迎えます。養鶏場とつながりのあった祖父がたまごを集め、箱に入れて販売しながらたまごの専門商社として徐々に規模を拡大していったそうです。祖父の後は母方の伯母、そして私の母が会社を引き継いで今に至ります。

新卒で入った銀行では5年間働き、営業として中小企業から大企業まで幅広いお客さまとの取引を経験して財務と営業の基礎を身につけました。そのうち母から「そろそろ戻ってきては」という話があり、取引先の経営者に「家業を継ぐか迷っている」と相談したところ「一度チャレンジしてみたらどうか」という後押しもあって、地元へ戻ることを決意しました。

「会社を変えるのは自分自身」覚悟が生んだ当事者意識。

入社当初は営業のいちプレイヤーとして仕事をしていましたが、会社の経営に関わる者としての自覚が芽生え管理的な視点で捉えられるようになると、意識的に他の社員と接する機会を増やすようになりました。ただ、その中で当初は失敗してしまった経験も多々あります。

銀行で営業をしていた経験を活かし、売上に直結する営業部門の数値管理を厳しく行った時期がありました。それによって会社の業績は伸びたものの、その変化を窮屈に感じた営業社員が「この方法は私には合わない」と退職してしまったのです。

今になって振り返ると、その社員に向き合って取り組みの背景や重視する理由を丁寧に説明したり、段階的な数値管理を行ったりと、ゆるやかな方法もあったかもしれません。当時は「とにかく変えなければ」という意識が強く、急いで進めすぎた面がありました。

そんな経験から、今では25名ほどいる社員に対して毎月面談を行っています。社員の質問や相談事に答えたり、経営方針について説明したり、お互いの認識にすれ違いが生まれないよう努めています。社員の声に耳を傾けるようになってから、急な退職やトラブルの発生を未然に防げるケースが増えたと感じます。

また、2025年度からは新たな人事評価制度を導入し、頑張りの成果がより反映される状況を作るつもりです。同時に階級制度も刷新することで、社員のモチベーションアップにつなげたいと考えています。

養鶏場の修業を通して学んだ、たまごの安定供給の重要性。

当社はたまごの専門商社として、安定した供給を何よりの強みとしています。養鶏場から届くたまごを自社でパック詰めする製造ラインを持つのはもちろん、養鶏場と製造工場の両方を持つ委託先とも協力することで、いつでも美味しいたまごが小売店に届くように努めています。

養鶏場にとっては、当社が小売店との窓口や市場の需要に合わせた販売数の調整を担うことで、生産に集中できるメリットがあります。

一方、スーパーなどの小売店から見た価値は、当社が複数の養鶏場からたまごを集めて納品する「リスク分散体制」にあります。もし災害や鳥インフルエンザといった突発的な事象が起きても、複数の養鶏場と提携している当社であれば、売り場や消費者へ安定的にたまごを供給できるからです。

私が安定供給にこだわるのは、グンケイの入社1年目に半年ほど養鶏場で研修をさせてもらった経験がベースとなっています。たまご1個を手に取るまでには、養鶏場の掃除からエサやり、鶏の健康管理まで多岐にわたる仕事があります。時には死んでしまった鶏を目にする機会もあり、そのとき改めて「命を扱う仕事なのだ」と重みを実感しました。

研修中は毎日大変だと思っていましたが、振り返れば非常に貴重な経験でした。営業先でお客さまと話す際も、生産側の大変さを理解しているのといないのとでは、話す内容も大きく違ってきます。

養鶏場の実情と小売店のニーズの両方がわかるからこそ、毎日の食卓へたまごを当たり前にお届けする仕事はとても重要であり、やりがいのある仕事だと感じています。

人材の力で目指すさらなる成長。グンケイの今後の展望とは。

恥ずかしながら、私はグンケイに入社した当初「会社を拡大したい」といった確固たるビジョンはありませんでした。とにかく一人前の会社として制度を整えたい、営業面でも業績を伸ばさなくてはならないと、がむしゃらにやっていたように思います。

そんな中でも社長を務める母が堅実な経営をしてきたおかげで、会社の財務は長年安定した状態を保ってきました。ここ2年ほどで一通りの制度改革を整え、当社は次の段階に進もうとしています。社長は「私が土台を作ったから、あとはあなたが工夫してやりなさい」と言ってくれています。

私としては、これからは攻めの経営にシフトし、適切な投資や開拓を行っていくつもりです。近年は主要取引先であるスーパーや外食産業とのつながりがより強くなり、たまごに関連する商品のニーズや、たまごのプライベートブランド品を作りたいといったご要望も寄せられるようになりました。それらの声に十分応えられるよう、事業の幅を広げていきたいと考えています。

もちろん、そのためには人材の力が必要不可欠です。新たな人材を雇用するとともに、私が担ってきた営業の仕事を徐々に社員へ任せていき、もっと強い組織にしたいという構想があります。

今後も現状に満足することなく、人事評価をはじめとする社内制度をよりブラッシュアップさせながら、社員が働きやすい環境づくりとやりがいを持って仕事に臨める組織を目指して進み続けます。

主体性×挑戦心で未来を切り拓く人材とともに働きたい。

グンケイが求めるのは、主体性・自発性があり、困難な状況でも「よしやるぞ」と前に進める人材です。その理由は、当社はこれから積極的な設備投資や新たな販路開拓を通して、次の成長のステージへと進みたいと考えているからです。

私が大切にしている考え方に「当事者意識」があります。銀行員時代も自分自身が支社の数字に少しでも貢献できることはないかと徹底的に考え、行動を起こしてきました。その結果として道が開けた瞬間も多々あったため、自発的に何かができる人、チームに貢献する方法を自ら考える人には非常に魅力を感じます。

この業界の経験は一切問いません。それよりも営業の基礎力があり、新しいことへ果敢に挑戦するマインドを持つ方がいいですね。

業界や営業に必要な知識は社内でしっかり教えますので、腰を据えて一緒に会社を大きくしていってくれる方、群馬県が好きで地域の小売業や日々の食卓を支えることにやりがいを感じる方とぜひ一緒に働きたいと思います。

編集後記

コンサルタント
松浦 光洋

佐藤常務へのインタビューを通じて、家業に対する強い思いと、銀行員時代に培った経験を活かして新たな挑戦に取り組む姿勢が伝わってきました。特に、社員とのコミュニケーションを大切にし、失敗から学び成長していく姿勢は多くの人に共感を呼ぶと思います。

また、たまごの安定供給に対するこだわりや、養鶏場での修業を通じて得た経験が現在の経営にどのように活かされているかも非常に興味深いポイントでした。これからのグンケイの成長と地域社会への貢献に期待が高まります。

今後も主体性と挑戦心を持った人材とともに新たなステージへと進んでいく姿を、私自身も応援していきたいと強く感じました。

関連情報

株式会社グンケイ 求人情報

企業TOPインタビュー一覧

ページトップへ戻る