匠の技とチームワークでチョコレートづくりの未来を拓く。
バリーカレボージャパン株式会社
取締役 工場長 森津 一幹
1978年 兵庫県赤穗市生まれ。姫路獨協大学 法学部卒業。
2001年 三星食品株式会社 入社 製造オペレーター、製造管理、設備管理、Continuous Improvementに従事。
2017年 バリーカレボージャパン株式会社 入社。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
カカオ豆から最終製品まで。世界水準の品質管理を実現する現場。
バリーカレボーは、スイスに本社を置く世界有数の高品質チョコレートおよびココア製品のメーカーです。私が工場長を務める高崎工場は2013年の設立以来、チョコレート製造を行ってきました。
当社の製造工程について簡単にご紹介しますと、私たちは、カカオ豆の調達から最終的なチョコレート加工まで、一貫した品質管理のもとで生産を行っています。具体的には、まずカカオ豆の選別から始まり、それを加工してカカオバターやココアパウダーを製造。これらの原料を当工場に運び、最終的なチョコレート製品へと仕上げていくのです。
私たちの工場の大きな特徴は、単なる流れ作業ではないということです。チョコレートの製造工程は非常にデリケートであり、温度管理一つとっても細心の注意が必要です。そのためオペレーターには、機械の操作技術だけでなく、製品の状態を五感で確認する力も求められます。
オペレーター一人ひとりが機械をコントロールしながら品質を見極め、より良い製品を作り上げていく。当然ながらその過程には大きな責任が伴いますが、だからこそやりがいのある仕事です。
品質管理の面では、2015年にGFSI認定の食品安全管理システム「FSSC22000」を取得し、サプライチェーン全体での安全性確保に努めています。さらにこの10年間、最新技術の導入や生産能力の拡大により、より高品質な製品を届け続けています。
法学部からものづくりの世界へ。変化に適応しより大きな挑戦を。
私は1978年に兵庫県赤穂市で生まれ、地元の大学の法学部に進学。在学中のアルバイトを通して製造現場での仕事に魅力を感じ、卒業後は現場のオペレーターとしてキャリアをスタートさせました。
最初の職場ではまず製造の基礎から学びました。当時から新しいことを見つけることが好きだったので徐々に工場の中で目立つ存在となり、次第にチームリーダーとしての役割も任されるようになりました。製造管理、設備管理、エンジニアリング、プロセス開発、改善活動と、幅広い経験を積む中で、特に製造工程と改善の分野で専門性を高めることができました。
29歳の頃、当時勤めていた会社が外資系企業キャドバリーに買収され、その後さらにクラフトフーズによる買収を経験。最終的にモンデリーズという会社として再編される中、私もその変化に適応しながらキャリアを歩みました。名古屋工場との行き来も経験し、製造現場の管理職として経験を重ねていったのです。
そして2017年、大きな転機が訪れます。バリーカレボー社から声がかかり、初めての転職という新たなチャレンジを決意します。こうして、これまでの製造とエンジニアリングの経験を活かした、製造のマネージャーとしての歩みをスタートさせることになりました。
多様な人材が集まる製造現場で、オーナーシップの文化を育む。
高崎工場の立ち上げ当初、最も大きな課題は人材育成とチームビルディングでした。2017年、まったく新しいメンバーでスタートした私たちのチームは、多様なバックグラウンドを持つ人たちの集まりでした。この多様性を、どうしたら強みにできるのか?それが最初の大きな挑戦でした。
さらに、当時の社内には、「製造部門のマネージャーは経験豊かな内部の社員から登用するべきだ」という気風があったため、外部からやってきたチョコレートづくりの経験が一切ない私のような者がいきなりマネージャーとなり、「本当に大丈夫なのだろうか?」という空気が満ちていました。
そんな中、私は前職で培った改善の手法を皆に共有し、そのノウハウをトレーニングしていきました。その結果、「森津はチョコレートづくりについての経験はないけど、より良いチョコレートづくりに必要なものを持っている」と、まわりからも認めてもらえるようになったと自負しています。
また、人材登用において特に印象に残っているのは、ある若手オペレーターにチームリーダーを任せたことです。入社して間もない彼でしたが、機械を扱う確かな技術と強い責任感、そして何よりも「このチームをもっと良くしたい」という強い意欲を感じ、この決断をしました。
その結果、チーム全体の生産性向上など大きな成果に繋がりました。彼の成長とその成果は、私たちの人材育成に対する考え方を大きく変えたと言えるでしょう。
グローバルスタンダードと日本の改善活動を融合させる取り組み。
現在、当工場では品質向上への取り組みをさらに強化しています。グローバルスタンダードの導入や品質基準の継続的な改善は、その一例です。バリーカレボーグループとしての方針も年々進化を続け、より高い目標に向かってまい進しています。
特筆すべき取り組みとしては、Continuous Improvementという改善のための部署があります。ここでは毎週木曜日のランチタイムを利用して「毎週カイゼン塾」というミーティングを実施し、オープンな雰囲気で社員同士が知識を共有して改善のマインドを育む場となっています。このように、当社には現場の声を大切にし、それを実際の改善につなげていく文化が根付いています。
また2018年には、アジア太平洋地域で初めてルビーカカオ豆を使用したルビーチョコレートの生産に成功。ダーク、ミルク、ホワイトチョコレートに続くこの「第4のチョコレート」の製造は、日本のチョコレート業界における私たちの技術力を示す大きな成果となりました。
さらに、「ココアホライズン」プログラムを通じて、持続可能なカカオ生産と生産者支援にも力を入れています。カカオの持続可能性は、コーヒーと同様、今後さらに重要性を増すテーマです。この分野においてもバリーカレボーは世界をリードする存在として、お客さまの期待に応え続けています。
社員一人ひとりの専門技術を向上し、一歩先行く製品開発に取り組む。
私の夢は、バリーカレボーという名を日本の「老舗」として確立することです。もちろん、当社はグローバルでは120年の歴史を誇る企業ですが、日本では、まだその価値を広く認知していただく余地があります。今後は日本国内においても、「チョコレートと言えばバリーカレボー」と自然に思い浮かべていただけるような、そんな存在になることを目指しています。
その実現に向けて、まず力を入れているのが、チョコレートのスペシャリスト育成です。今後は製造技術の向上はもちろん、より深い専門知識を持った人材を育てていきます。
具体的には、製造現場で働くオペレーターの方々には、時間の半分をチョコレート製造の技術向上に、残りの半分を製造全般の専門能力向上に充ててほしいと考えています。これは個人の成長だけでなく、工場全体の発展にもつながる取り組みです。
私自身、さまざまなキャリアステップを経験してきたので、同じように社員一人ひとりの多様な成長をしっかりとサポートしていきたいと考えています。
チョコレート業界全体を見渡すと、高品質な製品への需要は年々高まっています。特に日本市場では味や品質に対する要求が非常に高く、それに応えるためには確かな技術力と創造性が必要です。当社では、この市場ニーズに応えながら、さらに一歩先を行く製品開発にも取り組んでいきます。
チャレンジ精神を持ち、自ら考え行動できる人材との未来を描く。
私たちが求めている人材は、何よりも「オーナーシップ」を持って仕事に取り組める方です。単に言われた通りに作業をこなすのではなく、自ら考え、行動し、その結果を報告できる。そんな主体性を持った人材が私たちの組織には必要です。
当社のオペレーターには、単なる製造技術だけでなく、製品の状態を五感で確認する力も求められます。日々の作業において品質管理の重要性を常に意識し、より良い製品づくりに取り組める方を歓迎します。そして何より、チョコレートづくりに情熱を持ち、共に成長していける仲間との出会いを楽しみにしています。
私自身、20代後半からさまざまな環境の変化を経験し、30代後半の時に当社への転職を決意しました。その経験から言えることは、変化を恐れずにチャレンジする気持ちがあれば、必ず新しい道は拓けるということです。
当社の工場は、一人ひとりに大きな裁量が与えられる職場です。それは同時に重い責任も意味しますが、だからこそ、自分の成長を実感できる環境でもあります。経験の有無に関わらず、チャレンジ精神をお持ちの方であれば、私たちは全力でサポートします。
品質へのこだわり、イノベーションへの情熱、そしてサステナビリティへの責任。さらに、チョコレートを通じて人々に幸せを届けたいという想い。こうした当社の価値観に共感していただける方、ものづくりの現場で自己実現を目指したい方、ぜひ私たちと一緒にバリーカレボーの未来を創っていきませんか。