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後世に名を残す仕事を。鉄骨メーカー・鐵建が目指す未来。

株式会社鐵建
代表取締役社長 小山 慎一

更新日:2024年6月05日

群馬県高崎市生まれ。東海大学卒業。
1982年 群馬県内の鉄骨メーカー 入社。
1984年 株式会社鐵建 入社。
1995年 代表取締役社長 就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

家業を継ぐため、同業他社で学んだ2年間の修業時代。

株式会社鐵建は私の父が創業した会社で、1954年の創業時は機械加工と製缶工場の「小山機械製作所」としてスタートしました。群馬県高崎市で生まれ育った私は、大学時代を神奈川県で過ごした後、再び地元に戻って群馬県内の同業他社に入社しました。

「家業を継ぐとしても一度は他社で勉強した方がいい」という父の勧めで修業として2年ほど働き、鉄骨工場の現場作業を担当しました。

当時の鐵建は10人にも満たない小さな会社でしたが、学生時代からおぼろげに「自分が事業を承継するんだ」という意識がありました。高校生の頃、父のもとで現場に入ってアルバイトをした経験もあります。そのおかげで、修業先に入社した際も一通りのスキルを持った状態で社会人生活を始めることができました。

最も苦労したのは営業活動。県外から始めた「受注拡大戦略」。

同業他社での2年間の修業の後、鐵建に入社しました。当時は代表の父と経理を担当する母、そして私を含めて社員は6名。全部で8人の組織でした。入社して10年ほどは工場での現場作業が多く、30代半ばからは図面作成をする設計業務や営業にも携わるようになりました。

その頃に父から代表を受け継ぎましたが、工場の現場で培った経験は私にとって大切な原体験です。工場のことが誰よりもわかり、現場にとって本当に必要な設備投資や決断ができる「工場上がりの代表」であることが私の強みだと思っています。

入社後に一番苦労したのは、営業活動をして受注することです。私が入社した頃の得意先は小さな工務店が多く、大口の仕事で稼ぐというよりは、いろいろなところから仕事をいただいて細かく売り上げを積み上げるスタイルでした。

将来に向けて会社を発展させていくためにゼネコンのような大きな会社からも仕事をもらいたいと考えていましたが、ゼネコンはたいていグループ会社を持っていて、屋根・基礎・鉄骨などもそのグループ会社に仕事が発注されるため、新規で入り込むのは難しいと感じていました。

そこで県外の仕事を受注しようと決め、埼玉県のお客さま10社以上と取引しました。何度も通ってアタックしたり、知り合いに仕事を紹介してほしいと頼んだりしたこともあります。そんな時代を経て、会社がステップアップするにつれて徐々に県内の仕事も受注できるようになっていきました。

小さな会社から大きな組織へ!鐵建の成長ストーリー。

私が1995年に代表に就任した当時は、バブル景気崩壊後の長い低迷期から立ち直るために奔走していた時期です。なんとか会社が持ち直し、社員数が22名まで増えた2005年、工場が手狭になってきたため事務所の移転と工場の拡張を決断しました。

そのとき3.5億円の融資を受けましたが、とても大きな金額なので決断に恐れを抱いたのを覚えています。しかし結果的には工場を移転して半年ほどで再び手狭になり、隣の土地の取得や増築などが必要になるほど成長できたので、あの時決断して良かったと思いましたね。

その後20年で合計50億円ほどの設備投資をして、2024年には第三工場の建設に着手しています。工場が広くなると徐々に社員も集まってきましたが、まさか100名近い組織になるとは予想していませんでした。

移転当時は、とにかく「今よりも少しだけ会社の成績を上げて豊かになろう」という考えと、「他分野に手を出さず、収益は鉄骨一本に絞ろう」という信念だけを守り続けて地道にやってきました。今の場所に移転するまでの20年と、移転してからの20年は設備も社員数も大幅に変わりました。

成果が出れば社員に還元。働きやすい職場づくりにも尽力。

当社はとにかく社員に恵まれた会社だと考えています。すでに働いている社員が友人・知人に当社を勧めてくれて、入社に至ったケースもこれまで何度もありました。社員にとって「親しい人に勧めたくなる会社」になっていることをとても嬉しく感じます。

当社のポリシーは、会社の成績が良いときはできるだけ社員に還元することです。また、現場にとって良いと思う設備があれば積極的に投資し、業務効率や設備の増強にも力を入れています。建物は外観を含めてきれいに保つよう意識し、社員が気持ちよく働ける環境づくりには常に気を配っています。

ありがたいことに、2015年には群馬県内で従業員のワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む事業所を選出する「群馬県いきいきGカンパニー」にも認証されました。

人材の採用では、当社の事業に貢献してくれそうな人なら学歴などは重視しません。経歴が事業領域にある程度マッチして、現場で活躍してくれる可能性がある方なら比較的広い間口で採用しています。

ワンランク上の仕事を目指して。新工場から始まる新たな挑戦。

これまで鉄骨業界に40年携わる中で、会社を取り巻く環境が良いときも悪いときもさまざまな経験をしました。ただ、私が実感するのは「良いときも悪いときもずっとは続かない」ということです。

バブル崩壊後の低迷期は確かに苦しかったですが、これまでの蓄積をもとに、地道に努力を続けることで少しずつ盛り返すことができました。良いときは社員にさまざまな形で還元しますが、基本的には安定志向を心がけています。そうすれば多少の不況にも負けない、土台のしっかりした経営ができると思います。

当社の今後のビジョンは、完成したばかりの第三工場を活用して新しい仕事を受注することです。生産設備としては関東近郊でもかなり大規模なものを備えているため、その点もアピールしつつワンランク上の仕事を獲得するのが目標です。

直近では群馬県内の官公庁建物・施設建設に携わり、当社を挙げての一大プロジェクトとなっています。第三工場ができたことで、今後は大型で難易度の高い物件にも挑戦できるでしょう。一方で、スケールの大きい仕事によって現場の負荷が高くなっては意味がありません。

当社はここ10年ほどで社員がぐんと増え、まだまだ社内体制は整備が必要な段階です。給与体系・福利厚生・休日や残業も含めた労働体制の見直しを引き続き進めて、社員が働きやすい職場づくりに取り組んでいきます。

後世に残る仕事を手がける「鉄骨ファブリケータ―」として、社員が仕事に誇りを持てる会社を目指し、今後も成長を続けます。

編集後記

コンサルタント
戸塚 理仁

「鉄骨一筋」を貫き続ける小山社長の姿勢が、従業員の方々にも非常に魅力的に映っているように感じました。使用できるクレーン台数を増やしたり、熱中症対策の屋根を設置したりと、従業員のパフォーマンスや働きやすさを重視した工夫も多く、「現場主義」を大事にする考え方が至る所に反映されている点も同社の特色といえます。

同社では鉄骨の新たな可能性を見出すため、新規案件にも積極的に取り組まれており、新工場の設立も含め益々存在感を強めています。好調時も逆境時も、常に誠実な仕事を心掛ける同社をもっと多くの方に知っていただきたいと感じるインタビューでした。

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